@miyabi_furisode @miyabi_kokura @kimono.kka @shokotamai
いよいよ「MIYABI」の皆さんの、NYファッションウィーク2023 デビューです。
店長でデザイナーの雅さんとは、昨年末にNYで開かれたMIYABIの着物の展示会で知り合いました。豪華衣装のデザインと質感が素晴らしく、大勢の方々が見る機会があったらいいなあと思っていたところ、今回はファッションウィークにデビューされるということで、全く個人的にお手伝いに呼んで頂きました。ショーの2日前のタイムズスクエアでの撮影に同行、ショーの当日はバックステージでと、雅さんご自身とスタッフの方々と行動を共にし、着物を間近に見せて頂きましたが、それが私一人の経験ではもったいなさすぎるので、長文になりますが皆さんと分かち合いたいと思います。
まず驚いたのは、雅さんを含めてショーのスタッフは5人だけ！１２人のモデルの着付けは雅さんと右腕の塩谷さんだけ！そして社長、山本さん、近藤さん他、皆さんでマルチタスクをこなし無駄のない協力体制でした。大切な衣装は全員がスーツケースで飛行機に乗せてきたそうです。
今回のショーに出品された着物を、つぶさに見せていただけたのは本当にラッキーでした。目を見張る衣装のデザインもさることながら、そのディテールがまた素晴らしいものでした。細部にわたって装飾がみな手作りなのです。髪飾り一つにもつまみ細工の花びらを一つ一つ付け加えるなどしてゴージャスな着物に負けない美しいフォルムを完成させます。襟元や帯どめのスワロフスキー、ドレスのドレープ一つにも工夫の限りを尽くしています。水引き製作の会社とコラボして完成させた鶴や亀の装飾にも大変な時間をかけたそうです。説明して下さる雅さんの瞳がキラキラと輝いていて、熱意がストレートに伝わってきます。
その他に私が心惹かれた点は、心遣いです。モデルさんのことを考えて、着物が出来るだけ軽い作りに工夫されているのです。また、花魁の赤い裾除けに当たる部分には、目立たぬようにスリットが入って、歩きやすくなっていました。それで、モデルのShokoさんはランウェイだけでなく、長時間のタイムズスクエアからグランドセントラルでの撮影もこなすことができたのですね。
さて、予想通り、反響は素晴らしいものでした。しかし、中にはモデルさんの人種やポーズに対して疑問を投げかける外国人もいました。ショーは舞台で見えたものだけが評価対象で、様々な事情は説明できません。例えば、花魁衣装のShokoさんは衣装合わせ、タイムズスクエアでの撮影と、本番前の2日間のみの準備でショーに臨み、ランウェイで華麗な舞いまで披露されました！しかし他のモデルさんについては、今回のショーのシステムとして選考の時間がなく当日決定され、ランウェイでのリハーサルも当日の一回のみ、その場で短時間で振り付けを覚えてもらうというものでした。既に来年以降のオファーが来ているとのことで、次回モデルさんとの事前のリハーサル時間がもっと取れれば、更に完成度が高いショーができることと思います。
「MIYABI」の着物はメディアでよく「ド派手衣装」と形容されていますが、「ド派手」の一言では言い尽くせません。この表現には芸術の部分が抜けています。メディアの「ド派手」には、「度肝を抜かれる豪華さ」の他に、「奇抜」のニュアンスも感じます。MIYABIの着物は主に成人式衣装として製作されてきたため、成人式に婚礼衣装のような豪華な素材のしかも振袖を男子が着用している、という点でそういうニュアンスになってしまったのだと考えます。しかし、その衣装が成人式にふさわしいかという論点は今は別にして、私は雅さんの着物は伝統の部分を守った芸術だと思いますし、何より今まで存在しなかった新しい着物着用の機会を開拓した功績が大きいと思います。日本の豪華な伝統衣装を着る機会は、一般人にはそうそうありません。実際に着用できるのは婚礼衣装ぐらいで、しかも女性に限られてきました。今まで男性は着たくても着る機会がありませんでした。そこで、雅さんが「金銀の衣装を着たい！」という男子の要望に応えて着物を製作したら、着たいという男子が続々と現れたわけです。需要があったのに気づかれていなかったのですね。誇らしげにポーズを取る若者たちの写真を見ると、希望通りの着物が着られて良かったね！と思います。この思い出と共に社会人としての一歩を踏み出してもらえたらと思います。
今回のNYファッションウィーク出演で、MIYABIの着物が世界から「日本の着物ファッション」として評価されたことにより、日本でも絶賛されました。その影響で、MIYABIの豪華衣装に対する周囲の見方が変わってきたと思います。これを機会に、日本のブランド「MIYABIの着物ファッション」を、世界の人々にどんどん紹介していって頂きたいと思います。雅さん、皆さん、頑張って！
